図書館のネクロノミコン

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図書館のネクロノミコン

月曜日の放課後 僕は図書館で、授業中に読む本を物色していた。 昨日は休みだったというのに、学校清掃に呼び出され災難だった 勿論サボってる奴も沢山いたけど 『出来るだけ参加するように』 なんて言われたら断れない。生真面目って損だよね いくつか手にとり パラパラめくり またいくつか返す ベストセラーの注目本だって、読んでみなけりゃ面白いかなんて分からない。 食べ物と同じだよね 世界一のパティシエが作ったって、モンブランだったら僕はお断り 「ん?」 ふと、何冊目かの本に目を止めた。 ぐぐっと引き寄せられて思わず顔を近付ける。 文字を追いかける高揚感に、指先が止まらない 面白い! 僕は席に戻るのも嫌になって、持っていた他の数冊の本を目の前の棚の余白に突っ込んで突っ立ったまま本を読み続けた。 本が好きな人な人なら分かると思うけど、もう本当にどうしようもないくらい面白い本を目の前にすると、立ったまま何時間でも読めるし、席に戻る僅かな時間も無視してしまうもので 僕も案の定ぶっ通しでその本を読み続けた 読んで読んで ひたすら読んで 残りのページがあと数ページに差し掛かった時だった ポケットから鳴り響くけたたましい音に僕は思わず飛び上がった。 しまったなんだ電話かな ああ、もうあとちょっとなのに!! 瞬間的に毒付いて でも『図書館は静かに』が本能レベルまで染み付いた僕は慌てて本を閉じて携帯を握り、出口に向かって歩き出した。 刹那 がしゃあぁあんっ! 凄まじい音に、僕は再度飛び上がった。 見返せば、僕が数秒前まで立っていた場所には本棚が倒れ混み、雪崩れ落ちた分厚い歴史書がガラガラと山積みになっていて 僕は 昨日の学校清掃に参加するために設定して、そのまま解除し忘れたアラームを鳴らし続ける携帯を握りしめて 呆然と、それを見ていた。 後日、その日図書館にいたっていうクラスメートから聞いたことには 「お前あの日 あの本棚の前で突っ立って、直立不動でニヤニヤしてたけど 何見てたの?」 だってさ 道理で あんなに夢中になったのに、本の内容もタイトルも覚えてないってわけか
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