第1章

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それなにの、私ったら、下り道、山の木の根っこにつまづいて、足をひねった。 「僕の車に湿布あるから」 「すみません」 ひねった足に湿布を張っていると、 城崎さんは紙コップに入ったものをくれる。 「あたたかい」 「美味しいですよ。きのこいっぱいの豚汁」 「おいしい」 わざわざ、道の駅で買ってきてくれたんだ~。 ほっこりした。 でも……上に人がどんどん登っていくのを見て、慌てた。 「行ってください。私、車から降りますから」 「いいですよ。トイレ行ったら、行きましょう」 山斜面を登るときも後ろで落ちないように見ててくれる。 それが紳士的で、胸がキュンとした。 一緒に並んで写真を撮るときも、肩がぶつからないように意識して、 どうしたの? SLよりも隣の彼にときめいている。 一枚、冗談で彼の写真を撮った。 このまま、別れるのもつらすぎる。
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