序章

3/19
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
魔術学園、正式には国家特殊能力育成機関という堅苦しい名称のこの学園はその名のとうり特殊能力をもった学生達が自身の" 特殊能力,"について学びその使い方を修得する施設だ。一概に特殊能力といっても数多くの種類がある。ある者は望む場所へ瞬時に移動し、ある者は空気を操り風を操作する、またある者は他者の考えを読み取ることが出来る。このように人に干渉するもの、自然の力を操るもの、自身の能力を向上させるものなど多種多様な能力が存在する。その全ての特殊能力を育成、管理、監視をいってに担っているのがこの国家特殊能力育成機関である。魔術学園とはこの" 機関,"の俗称だ、特殊能力をもっていない人々からすれば人知を超える能力を使うもの達、それはさながら魔法使いのようだった。そんな魔法使い達が通う学園、だから魔術学園、そんな安直なネーミングだったが生徒を含めその学園の人々はその俗称を気に入っていた。自分達は他の人々とは違う特別な存在なのだと、人が努力をしても到底手に入れることの出来ない力を持っていると、それを感じることが出来ると。 そんな特殊な学園の生徒は誘拐の目標にされやすい。特殊能力を持っている人間は多くはない、魔術学園に通うことの出来る生徒はその希少な特殊能力者達の中でもより才能のあるものとこれから才能が開花する見込みがある生徒だけだった。 魔術学園に在籍しているだけでそれは国家にとっての貴重な財産と判断される、その生徒を誘拐すれば多額の身代金が国に要求出来ると思った多くの犯罪者はこぞって生徒誘拐を企てた。しかし、国がその貴重な財産をみすみす誘拐されるのを放っておく訳がなかった。生徒達は入学当初は全員学生寮に入ることが義務づけられていた。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!