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警察による事情聴取は、ひとりずつ行われた。
だから、馬場園くんが余計なことをしゃべっていないかどうか、心配でならなかった。
コンピューター学習室の一画が即席の取り調べ室として使用され、僕らは順に呼ばれて、遺体発見までの経緯を質問される。
警察も自殺と判断しているせいか、深く掘り下げて聞かれるようなことはなかった。
女生徒の名前は、安達ひろみ。
二年生だから、面識がないのも当たり前だ。
馬場園くんもきっと問題はなかったのだろう。
それほど時間はかからず聴取は終わり、いつもと変わらぬお調子者の顔で戻ってきた。
そして、僕を見るなり、親指を突き立てるポーズ。
いやいや、この場でそういう軽率な行動は控えたほうがいい。
運良く、警官も先生も目に止めていなかったから、助かった。
警察の聴取が終わっても、僕たちは解放されなかった。
現場検証の間は帰れないらしい。
しかも、学校側が遺体を見た僕たちを気遣って、精神カウンセラーを呼ぶという。
「そんなもん、いらねーよ。腹減ったから、マック行こうぜ」
「ここは殊勝にしておいた方がいいよ」
馬場園くんをなだめるのに、ひと苦労する。
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