第一話

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『いつだってキミは笑ってた それが当たり前 笑わないキミはキミじゃない でもやっと気づいた 笑ってるキミは偽りで 僕はただ、 偽りのキミしか見てないだけなんだと~』 テレビから流れる音楽。 わたし、氷室 奏(ヒムロカナデ)は、その曲に聞き入っていた。 違う…なんか、違う…。 この歌を歌っているアーティストの名前は、MISAという、今、大人気の歌手。 もともと、シンガーソングライターとして、動画サイトで人気だった。 それを、音楽プロデューサーが見つけたってわけ。 でも……、 なんか、違う。 今では、わたしが知っているMISAじゃない。 わたしが知っているMISAは、もっとキラキラしてて、 音楽が好きだって、溢れ出てるような、そんな子だった。 今では、なんか、『人形』みたいな感じ。 ふと、時計を見ると、11時を示していた。 「もう寝よ…」 テレビの前から立ち上がり、自室がある二階へ向かった。
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