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「じゃーん、この町にたった一つの飲食店、風鈴だよ。じゃあ、中に入ろう」
愛海はお店の扉を開いた。扉を開くと茶髪の短髪の男性がコップを拭いていた。
「晃司おじさん、遊びに来たよ~」
「愛海、俺をおじさんと呼ぶな。まだ、二十代だ。呼ぶとしたらお兄さんと呼べ。ん、愛海こっちの二人は見かけない顔だが」
愛海と楽しそうに話をしてる人は俺とルーシーを見ていた。
「あっ、俺は秋羽東矢です」
「ルーシー・ベルナートです」
「二人共、私のクラスメートなんだよ」
「クラスメート?あぁ、望星学校の生徒か俺は浅倉晃司。この風鈴のマスターだ。うちの身内が迷惑かけてないか?」
「身内?」
「愛海、説明してないのか」
「ごめん、忘れてた…」
「はぁ~愛海は俺の妹の娘なんだ」
なるほど、だからあんなに楽しそうに話してたのか
「晃司おじさん、お腹空いた。カレー三人分作って」
「だから、おじさんって…はぁ~分かった」
晃司さんはため息を吐いた後、厨房に向かっていった。
「おじさんの作るカレーはとっても美味しいんだよ」
「へぇ~そうなんだ」
それは楽しみだ。俺たち三人はカウンターの前の席に座った。
「ねぇ、東矢、ルーシー、どうしてこの望星学校に入学したの?」
「俺はここの学費が安かったからかと、一期生って響きに惹かれたのもあるかな」
「へぇ~確かに一期生って響きかっこいいよね。ルーシーは?」
「わわ、私は…離れたかった」
「離れたかった?」
「………」
ルーシーはそれ以上に何も言わなかった。
「どうした?俺が料理作ってる間にお嬢ちゃん暗くなってんぞ。はぁ~愛海、また余計なこと言ったのか」
「ち、違うよ。私はただ二人にどうして、望星学校を選んだの?って聞いただけだよ!」
「愛海。人には言えない事情ってもんがあるんだよ」
晃司さんは呆れながら、愛海に説明した。
「お嬢ちゃん、すまねぇな。うちの愛海が余計なことを言って」
「ちちち、違うんです。その愛海さんは悪くないです…」
「これでも食べて元気出してくれ」
ルーシーの目の前にさっき愛海が注文したカレーが出てきた。
「ほれ、東矢と愛海の分」
俺たちはカレーを食べ始めた。
「おいしい。とってもおいしいです。晃司さん」
「当たり前だ。なんせ俺が作った料理だからな」
晃司さんはフンッと胸をはった。
「お嬢ちゃん、美味しいかい?」
「……っ……っ」
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