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「相神君、放課後時間あるかな?少し話があるんだけど…………。」
「んー?別に構わんよ。」
「やった!じゃあ放課後に教室でね!」
そう言って足早に去っていく彼女の背中を見て俺は一人で溜め息を漏らす。隣に居る友人は殺意の篭もった目で俺を睨み付けているが、そんな目で見ないで欲しい。
俺こと、相神契(あいかみ ちぎり)に友人が羨むような甘酸っぱい青春は無いのだから
~放課後~
「…………でね?私は何ていうか、いつも富永君を目で追い掛けちゃってさ……。」
「要するに好きってことなんだろ?」
「そうかもしんない…………。」
「恋愛に“かも”なんて言葉は無いぞ。明日、お前と田山が二人きりになる状況を作るから、その時自分の気持ちを確認しろ。答えは明日また聞くからさ、また明日同じ時間でここに集合な?」
「うん、分かった。今日はありがとね相神君、じゃあまた明日!」
もう日が沈み掛け、外では運動部が声を張り上げて部を盛り上げている頃、俺はようやく解放された。会話から見て分かる通り、俗に言う恋バナってやつだ。
因みに恋愛相談をされたのは今月でもう5回目である。その内1回は俺がちょっと気になっていた女の子からの恋愛相談だったので、現在は絶賛失恋中。
…………うん、皆青春してていいと思う。
泣いてない、僕強い子。この目から滲んでるものはアレだ、硫酸であって涙なんかじゃないヨ。
「一人で何やってんだ俺、もう帰ろ。」
「あー!!居た居た相神!!ちょっと聞いてよー、あいつがさぁ…………。」
……どうやらまだまだ帰れなさそうだな。
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彼女の愚痴が終わった頃にはもう陽は沈み、夜ほ帳が降りようとしていた。季節は秋から冬に移ろい、まだ雪は降らないものの、息は白く、止まっている車には霜が出来ている。
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