知ってしまった秘密

4/4
27人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
「それは……」 エクレールが言い淀むと、ルカは更に言葉を重ねた。 「してくれるよね?」 ルカはこれまでで、一番甘い笑みを浮かべた。そのマダムキラーの様な笑みに、エクレールは先輩メイド達が喜びそうだなあと思った。 「協力、してくれるよね?」 しかし、「お前に拒否権は無いんだ」と念を押されているような含みがある笑みに、エクレールはコクコクと頷かざるを得なかった。 エクレールの返事に満足したルカは、更に笑みを深めたのであった。 「けれども、どうやって……?」 エクレールがおずおずと尋ねると、ルカは視線を逸らして悩み出した。 「それは……まあ、これから考えるよ。うん」 (勢いだけで、何も考えていなかったのね……) エクレールは呆れた顔でルカを見つめる。エクレールからの視線に気づいたルカは、顔を真っ赤になった。 「そ、そんなのは別にいいだろう……! とにかく、俺に協力しろ!」 わかったかと、ルカに問われたエクレールが適当に頷いていると、またルカは耳元で囁いてきた。 エクレールは耳元がくすぐったくなって、首を竦めた。エクレールの弱点を見つけたと、ルカはクスリと不敵に笑ったのだった。 「じゃあ、引き続き、屋敷の案内を頼むよ。エクレールさん」 (何なの!? コイツ!) エクレールは真っ赤な顔のままで、ルカを睨めつけたのだった。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!