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「それは……」
エクレールが言い淀むと、ルカは更に言葉を重ねた。
「してくれるよね?」
ルカはこれまでで、一番甘い笑みを浮かべた。そのマダムキラーの様な笑みに、エクレールは先輩メイド達が喜びそうだなあと思った。
「協力、してくれるよね?」
しかし、「お前に拒否権は無いんだ」と念を押されているような含みがある笑みに、エクレールはコクコクと頷かざるを得なかった。
エクレールの返事に満足したルカは、更に笑みを深めたのであった。
「けれども、どうやって……?」
エクレールがおずおずと尋ねると、ルカは視線を逸らして悩み出した。
「それは……まあ、これから考えるよ。うん」
(勢いだけで、何も考えていなかったのね……)
エクレールは呆れた顔でルカを見つめる。エクレールからの視線に気づいたルカは、顔を真っ赤になった。
「そ、そんなのは別にいいだろう……! とにかく、俺に協力しろ!」
わかったかと、ルカに問われたエクレールが適当に頷いていると、またルカは耳元で囁いてきた。
エクレールは耳元がくすぐったくなって、首を竦めた。エクレールの弱点を見つけたと、ルカはクスリと不敵に笑ったのだった。
「じゃあ、引き続き、屋敷の案内を頼むよ。エクレールさん」
(何なの!? コイツ!)
エクレールは真っ赤な顔のままで、ルカを睨めつけたのだった。
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