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「は、はい!」
「ルカに屋敷内を案内してくれますね?」
「えっ!? 私ですか? でも……」
新しく使用人を雇った場合、いつもならばバトラー長かメイド長、またはエクレールよりも年配の使用人が屋敷内の案内をするはずだ。エクレールはまだ働き始めたばかりであり、屋敷の中にあまり詳しくなかった。
「でも、は無しですよ。晩餐会の準備で手の空いている者がいないのです。貴女も屋敷内の案内なら出来るでしょう?」
言外に、仕事よりも屋敷内の案内役の方が得てだろうと言われた気がした。
否定はしない。事実、エクレールはまだまだ屋敷内の仕事を満足にこなせていないからだ。
「はい。畏まりました」
「それでは、各自、仕事に取り掛かって下さい」
全員はアンリーネさんとドインさんに一礼をすると、それぞれの仕事場に向かって行ったのだった。
「では、エクレール。ルカの事を頼みますよ。終わったら、ルカをリューイのところに連れて行って下さい」
「しっかり教えて下さいね」
なぜか、エクレールはドインさんとアンリーネさんに念を押されて、ルカを託されたのだった。
「えっと……それでは、行きましょう。ルカさん?」
ルカがこくりと頷くと、2人で部屋を後にしたのだった。
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