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晩餐会
それから、晩餐会の当日まで、エクレールはルカと話が出来なかった。
ルカは先輩執事について、仕事や晩餐会の用意ーー自分もメインの一人である晩餐会の用意を自分でしているのも変な話だが。をしていた。
エクレール自身も晩餐会の装飾の用意や晩餐会での仕事について、ルカとはすれ違い気味になってしまった。
晩餐会当日、続々と招待客達が屋敷へと到着していた。
執事やフットマン、メイド達は招待客達を出迎え、荷物運びや部屋への案内をしていたが、エクレール達の様に最近入った若い使用人達ーーまだまだ来客の前には出せない者達、は引き続き、会場の用意をしていたのだった。
そんな中、テーブルクロスを運んでいたエクレールはルカに声を掛けられたのだった。
「エクレール」
「ルカ? どうしたの?」
「晩餐会は」と、エクレールが言う前に、ルカは近くのリネン室にエクレールを押し込むと自分も入った。
誰も居ないリネン室に入ると、エクレールは壁際まで追い詰められたのだった。
「エクレール、ようやく思いついたんだ」
「思いついたって……?」
「復讐だよ」
エクレールは息を飲む。
そうして、ルカに訪ねたのだった。
「どうしても……。復讐は必要なの?」
「どういう事だ?」
ルカの険しい形相に負けそうになりながらも、エクレールはお腹にグッと力を込めて訪ねる。
「その復讐は本当に必要なの? 旦那様がルカ達に厳しくしたのも、何か理由があるのかもしれないよ。話してみなよ」
エクレールが「旦那様と」と言う前に、ルカは壁を思いっきり殴った。
「今更話して、どうしろというんだ!!」
「ルカ……」
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