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おみつの態度は勿論お鈴の局の耳にも入っていた。
今回、紗江に課せられた事は、おみつが側室として用済みを表している。
「今宵は私がお傍におります」
紗江は、寝所にやってきたおみつに声を掛けた。
「紗江か……ねぇ、上様はいついらっしゃるかお鈴の局様に聞いてみてはくれないか?」
おみつは紗江の前に立ち、そう言った。
「私では何も……」
「お鈴の局様の元にいたのは紗江おまえだけ。どうか口を聞いてくれないか?」
「私から話せる事はございません」
「使えぬヤツだな」
おみつは手のひらを返したように乱暴な口ぶりに変わった。
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