その19

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「やり過ぎですよ紗江さん」 朝、様子を見に来たお涼が最初に出した言葉だった。 「つい張り切りすぎちゃって」 可愛らしく舌をだす紗江。 呆れたように、大きくため息を吐くお涼。 「御匙を呼びますね」 おみつの衣を丁寧に直し、お涼は部屋を出ていた。 お涼が御匙を連れておみつをお訪問するも、おみつは現実と欲望の狭間を漂い、御匙は治療に専念するように進言し、部屋をあとにした。 お鈴の局の計らいで、少し田舎にある屋敷で養生をする事になったおみつ。 それは表面上。 おみつは廓へと運ばれ、上様の側室から町の男の側室へと成り下がった。 おみつの実家には、大金が渡されていたので、おみつを心配するものはいない。 おみつが消えた大奥でも、だれも心配する者が居なかった。
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