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「やり過ぎですよ紗江さん」
朝、様子を見に来たお涼が最初に出した言葉だった。
「つい張り切りすぎちゃって」
可愛らしく舌をだす紗江。
呆れたように、大きくため息を吐くお涼。
「御匙を呼びますね」
おみつの衣を丁寧に直し、お涼は部屋を出ていた。
お涼が御匙を連れておみつをお訪問するも、おみつは現実と欲望の狭間を漂い、御匙は治療に専念するように進言し、部屋をあとにした。
お鈴の局の計らいで、少し田舎にある屋敷で養生をする事になったおみつ。
それは表面上。
おみつは廓へと運ばれ、上様の側室から町の男の側室へと成り下がった。
おみつの実家には、大金が渡されていたので、おみつを心配するものはいない。
おみつが消えた大奥でも、だれも心配する者が居なかった。
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