その20

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お鈴の局。 七美が最も警戒している人物。 大奥を取り仕切り、悪い噂や評判もない。 それが返って不信感を募らせた。 誰しも陰口の一つや二つあるものなのに、お鈴の局に関しては全くと言って良いほど、その類の話は出ていない。 いや、耳にしたことが無かった。 あの夜、三上にキスをされた。 けれど、酔いの席での事。 そう、七美は忘れるようにしている。 現に、三上はいたって普通に七美に接してくるし、三上に対して怖いと感じてはいないので、深く考える事はしないでいた。 それよりも、お涼に抱いてしまった感情の方が七美を不安にさせた。
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