その20

8/11
前へ
/223ページ
次へ
泥温泉でしっとりとした桜海姫の肌は、もちもちとしており、つい触りたくなるような輝きを帯びていた。 寝所に入られれば、すぐに深い呼吸に変わり、眠った事がわかる。 「七美さん、お風呂お先にありがとうございます」 寝所番をしていた七美の元に、他の女中がやってきた。 七美はその女中と交代すると、自らも温泉に入る為、離れの湯場へとむかった。 「失礼します~」 脱衣所には一組の着物が置いてある。 七美は声を掛け、着物を脱ぎ始めた。 濃い湯気が立ち昇り、先に入っている女中の姿をすぐには確認できずにいた。
/223ページ

最初のコメントを投稿しよう!

775人が本棚に入れています
本棚に追加