その22

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「何か面白い話はあったか?」 お鈴の局は湯に身体を沈めながら、お涼に聞いた。 「そうですね。お美結様の女中が紗江を訝しがっているようです」 湯の中から出ている脚を触りながら、お涼が答える。 「紗江……あやつ、勝手な事はしていないだろうな?」 「はい。……ただ、紗江は元々がアレですので」 紗江は一太と同じ芝居小屋で役者をしていた。 ただ、小柄で女顔の為、男性役が出来ず、大きな武器を一太が見つけ、お鈴の局の元で働くようになった。 芝居小屋で役者は大変モテる。 そしてみな女慣れしている。 紗江もその一人で、毎晩のように女を替え遊んでいた。
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