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お涼は一人の女中を伴い、お鈴の局の部屋にやってきた。
「名はなんと申す?」
「菊(きく)と申します」
「歳は?」
「19歳になりました」
19歳の割に幼き顔。
その表情は強張り、逃げ出しそうな雰囲気を醸し出している。
「明日、三上と町へ降り、私の用事を済ませて来て欲しい」
菊は驚いた。
まさかお鈴の局より頼まれごとをするなど夢にも思わなかったから。
「菊にはこれから私の為に働いて貰いたい。よいな?」
「……は、い」
驚きを通り越し、放心状態のまま返事だけをなんとかかえした菊。
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