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「悪いようにはせん。よろしく頼みます」
お鈴の局は菊に軽く頭を下げた。
菊は慌てて、頭を下げ、その額を畳にぶつけてしまった。
「ほれほれ、そんなに緊張する事もなかろうに」
お鈴の局は優しい笑みを菊へと向ける。
それは慈愛に満ちた天女のように。
「一生懸命働います。宜しくお願い致します」
菊はそう元気に言い、部屋を出て行った。
ここにまた、人生を狂わされる娘が一人。
三上は分からぬ不安を抱えながら、明日が来るのを待つ。
そしてお涼は紗江に不安を持ちながら、湯場の掃除をしていた。
お鈴の局は新しい遊びを考え付いたように、ワクワクした気分で眠りについたのであった。
第一部 完結
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