第1章   再会

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かれこれ電話を切り終えてから 1時間くらいが経っただろうか。 我が家の玄関先に車が止まる音がした。 「あっ、来たんだ」 自分が「うちへ来て」と誘ったのに、 だから妹がもうそろそろ到着することは 予想で来ていたはずなのに、 それでも私の胸の鼓動は高鳴った。 さっきの電話以上の高鳴りだ。 エンジン音が止まったのを確認できたとき、 何度も何度も深呼吸する。 鏡まで見ていた。 いつもの顔か、 普段通りの表情になっているか、 そんなことが気にかかっていたのだろう。 それはまるで本当に今から大好きな人に会う かのようである。 まだ妹は車から降りてきてはいないようだ。 車のドアを閉める音はまだ確認できていない。 そんなわずかな音も察知しようと私はしていたのだ。 それほどまでの緊張だ。 聞きとれる音で妹が玄関へ近づいてきている 気配を嗅ぎ取り、 それに合わせて 心の準備を整えていこうとした私。 それはもうあと数分のことだ。 どんなに長くともそれはあと2、3分のことなのである。 もう一度鏡を見た。 顔がこわばっていないか、 ひきつっていないか、 できるだけ自然に、自然に・・・。 そして、チャイムが鳴った時、 鏡の自分に向かって、 静かに「よし、行くよっ」 って掛け声をかけたのであった。
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