0人が本棚に入れています
本棚に追加
「は~い」
笑えるほど余所余所しい声だ。
玄関のドアの向こうはもう妹たちだとわかっている。
なのに、誰だかわからないといったふうの
声を私は出している。
敢えてなのか、
緊張がそうさせたのかは
わからない。
だけど、自分でも笑ってしまうくらいに
その声は余所余所しかった。
「こんにちは、久しぶりです」
久しぶりに聞いた妹の声だ。
そして、その傍らには小さな可愛らしい男の子が寄り添っていた。
「あっ、そうか、妹の子どもだ」
私は妹の子どもを見たことがなかったのだ。
むろん、こんなに大きくなっていることなんて知るはずもない。
子どもが生まれたことは聞いていた。
それが、男の子だということも耳にしていた。
だけど、それ以上のことは何も知らされてはいなかったのである。
最初のコメントを投稿しよう!