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妹の子どもを見て、改めて思った。
私たちはこんなにも会っていなかったのだと。
そのことが妙に私の心を鎮めさせた。
「あっ、どうぞ」
まだ私の声は余所余所しい。
お客様扱いだ。
ただ、子どもが一緒だったことで
幾分か会話がしやすかったのはありがたかった。
それは向こうも同じだったことだろう。
本題に入るまでの下ごしらえを用意できた。
「お名前なんて言うの?」
「駿です」
「そう、駿君って言うんだ」
「何歳ですか?」
「2歳です」
そう、私は甥っ子の名前も年齢も正確には
知らなかったのだ。
名前くらいはなんかのついでに、
といっても敢えて教えてもらったわけではなくて、
父と母と弟が話しているのを小耳にしたのを
うろ覚えではあったが私が覚えていたのだった。
それも「この会話からすると、恐らく妹の子が
駿って言うんだろうな」
と、会話を拾っての記憶だった。
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