17人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうして街の人達と一緒に暮らさないの?僕はおねーさんと毎日こうして話したい」
むしろ、どうしてあんな奴らと一緒に暮らさなくちゃいけない。
質問の正解を探す。
誤魔化すための偽りの答えがみつからない。
いっそ素直に話してしまおうと思った。
「昔は暮らしてた。大切な人も出来て幸せだった」
「じゃーー」
「でも、誰かが言ったんだ。
“化け物”って」
「化け物…」
青年が声にならない声をあげた。
きっと先の結末がわかってしまったんだ。
「大切な人が目の前で殺された。
気が狂いそうだった。憎くて仕方なかった」
声が震えて、自分が泣いていることに気づいた。
「またあの眼を向けられたら、きっとみんな殺してしまう」
そして自分がその考えに納得していることが何より怖い。
「まさかおねーさんも…」
「殺された。
だから、化け物だ。」
「違う!」
青年は俯いた。
最初のコメントを投稿しよう!