第一章

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「おねーさん逃げて!」 青年を掴んでいた男がナイフを取り出した。 それは青年の首へ振り下ろされる。 「させるか!!」 体を沈めて思いっきり跳び、そのまま男を刈った。 男は力なく膝から崩れ落ちた。 街の奴らは、目で追えない速さで移動した魔女が男に何かをした。 くらいにしか認識出来なかっただろう。 青年は静かに私を見つめる。 ずっと心に詰まっていた言葉をぶつけるために、重い口を開いた。 「青年、明日はないんだ。 嘘をついた、ごめん」 彼を庇うように前へ出る。 「ねぇ…殺してない、よね?」 頷き、恐る恐る振り向くと、こちらを見て笑っている青年。 「やっとおねーさんの本心が聞けた」 ああ、なんだ。バレてたのか。 私が想像してたよりも青年はずっと大人だったんだ。
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