17人が本棚に入れています
本棚に追加
赤い。
まるで、最初からその色しか存在していなかったかのようだ。
私は今日沢山の人間を殺した。
いいや、彼らは人なんかではない。人の形をした魔物だった。
それまでは魔物の中に人の形をしたものがいるなんて知られていなかった。
だから仲間はほとんど死んだ。
切り裂いた数なんか覚えてない。
それでも魔物がいなくなったということは、私は1人で一軍を壊滅させたらしい。
ゴォォォ、と雲が唸る。
私はその声にただ上を見上げた。
真っ赤な世界に影が出来る。
あれは…人?
違う、魔物だ。
「お前が私を殺してくれるの?」
そう言おうとしたのに、喉から声は出てくれない。
幼い容姿に似合わず、優雅に私の前に降り立った。
三日月の形に歪んだ口が開く。
「やっと見つけたぜ!
時の魔女“ガーディネ・ランファ”」
それが魔王との初めての出会いだった。
最初のコメントを投稿しよう!