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俯いた私を横目に、街の人々は赤い煉瓦の家をハンマーなどで壊そうとしている。
どうでもよくなってしまった。
「おねーさん!!?家が壊されちゃうよ!!
うわぁ!!」
続く大きな地響きに、青年は心配そうにこちらを見上げ、目を見開く。
「泣いてるの?」
青年は目元の雫を指ですくってくれた。
「すまない。すぐに止める」
「おねーさんは強いね。僕がおねーさんだったら耐えられない」
キッと地面を睨みつけた。
私はゴシゴシと袖でふき、前を見据える。
どうやって切り抜けるか考えるんだ。
早くしないと魔法使いに囲まれて逃げれなくなる。
「青年、目を瞑ってくれないか?」
「え?」
どうして?と此方を見上げた。
「お前に嫌われるのが怖いからだ」
「嫌いになんかならない!!」
ふふ、と笑う。
「わかってる。でも、お願いだ」
青年は「うん」と力なく頷いた。
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