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月が照らす森は妖艶でとても美しい。
だが、夜になった森は恐ろしく危険だ。
風の囁き、葉のかすれる音、森全体の共鳴。
何十年ここにいても飽きないのはこの森のお陰だと思っている。
たくさんのことが学べる素敵なところだ。
今日は満月。
月を眺めていると落ち着く。
足音。
…何かが近づいてくる。
走り出す準備をしながらもずっとその方向を見つめた。
草が揺れる。
「おねーさん」
出て来たのは青年だった。
「お前、どうしてここに?」
「おねーさんが寂しがってるかなって」
「まったく…」
青年は私の隣に腰を下ろした。
「笑顔」
「え…?」
「笑えてなかったよ」
う…やっぱり。
それであんな泣きそうな表情をしていたのか。
私なんかを気にかけて。
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