はるにれ君

むしろ「学校ではるにれ君を見かけたら、その日は一日ハッピー」なんて噂が流れ始めている。

二年一組のマスコットキャラクター的存在？見たら幸せになれるなんて、座敷童みたいだ。寝癖にメガネの特徴的なフォルムは確かにキャラクターになりそうだけれど。

息を切らしながら、教室に駆け込むと、隣のはるにれ君はすでに着替えを終えて、窓の外を眺めていた。青い空にイワシ雲が浮かんでいる。

ポカポカした午後の日差しを浴びて、頬杖をつきながらまどろんでいるはるにれ君の姿は、日向ぼっこをしているニャンコに見えた。フニフニと何かを呟きながら、目を細めている。

うちの学校は男子は学ラン、女子はセーラー服という昔から代々受け継がれているダサい制服なのだけれど、はるにれ君は学ランが苦手らしい。

前ボタンをキッチリとしめなきゃいけないのが窮屈で嫌なのだそうだ。できれば年中、学校ジャージで過ごしたいけれど、さすがにそれでは担任に怒られるので、はるにれ君は学ランの代わりに紺色のパーカーを着ていた。

春先は薄手、最近は寒くなってきたから裏起毛。

上履きは踵を潰して履いてるし、まだ朝の寝癖直ってないし。

全体から何となく、ゆる～い雰囲気を醸し出しているのがはるにれ君なのだ。