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別の人間と話してるような変な感覚があった。顔つきも、目も、いつものあたたかみが感じられない。
もしかして俺のあんな姿を見たからか?
前に久保にやられたときも凌駕は知っていた。だけどあのときは何も言わず何も聞かずいつも通りだったはずだ。事後とは言え俺の姿を見て凌駕はおかしくなったんだろうか。
いや、そんなはずはない。動揺したり取り乱すことはあってもそんなことくらいでこんなふうになるはずはない。
「……久保はどうした」
その瞬間凌駕の目が険しくなる。
「お前は知らなくていい」
「……死んだ、のか」
それを聞いた凌駕が立ち上がり背中を向けた。
「まだやることがある。また来るからゆっくり休んでろ」
まだ身体は重かったけど、今行かせない方がいいと思った俺は、出ていこうとする凌駕の背中に抱きついた。
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