まえがき

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 だから気に病まないでくれ。傷つかないでくれ。  本当は人なんて殺してほしくない。でも殺らざるを得ないとき、お前が潰れないように俺は支えたいんだ。 「歩……。なんでお前はそんなに強いんだよ」 「覚えておけよ凌駕。俺の強さはお前の強さだ。お前の脆さも俺の脆さだ」  答えにはなっていないかもしれない。でも凌駕はその言葉を噛みしめるように、数秒目を閉じるとその目を開けた。  そこにはいつもの凌駕の温かさがあって、少し照れたような表情に俺も微笑む。 「なあ、俺とセックスしてから帰れよ」 「お前何言ってんだよ。病人は寝てろ」
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