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他県に出掛けた翌日。俺を待ち受けていたのは愛する歩に対する許しがたい出来事に関する話。
「おい、直ぐに調べろ」
静かな怒りを腹に滾らせ、怒気を孕んだ低い声で指示をすると事の顛末が分かるまでじっと待つ。
俺の歩に手を出すやつは、ただじゃおかねえ。二度と近付かないようにする必要があるな。
「若、調べがつきました。銀龍会の若いのと付き合いのある久保って男で、最近ゲイバーのオーナーになってます」
目を閉じ黙って報告を聞きながら、銀龍会の会長を思い浮かべる。
「会長に連絡を取れ」
こうして静かな怒りは鋭い刃のように、形を成して音もなく突き刺さっていった。
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