野獣は夜に目を醒ます

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「おーい、準備出来たか」  亜輝の夏休み。どこかに連れて行きたいという歩の提案で水族館へ行くことになり、俺は運転手を押し付けられた。  隣県まで数時間のドライブ。おやつを持った亜輝はすっかり遠足気分だ。 「おやつではしゃぐなんてやっぱガキだな」 「凌駕はおじさんだね」 「はあ? どこがおじさんなんだよ。まだ二十代のお兄さんだろうが!」  歩がいないのをいいことに相変わらず可愛くねえ態度。 「お前そんなことばっか言ってっと、水族館に置いてくるぞ。ふっ」  すると……あれ? 「お、おい泣くんじゃねぇよ! 冗談だって」  まさか泣くとは思わずあたふたと焦っていると歩が施錠をしてやってきた。 「ん? なんだ」 「お兄ちゃぁん、凌駕が、ひっく、虐めるぅ、うわぁん」 「てんめえ……ふざけんなよ凌駕」 「い、いや、虐めたわけじゃ……ぎゃー!」
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