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俺、頭から血出てねえかな。
亜輝のやろう嘘泣きしやがって。俺は殴られ損だぜ全く。
「おい、もうすぐ着くぞ」
朝早かったせいか、歩も亜輝も後部座席で寄り添って寝ていた。
その二人の寝顔は半分しか血が繋がってないってのに良く似てる。まあ、歩の方が可愛かったけどな。
漸く目が覚めた頃に駐車場に車を停めて入場ゲートに向かう。
「水族館なんて来るの久しぶりだな」
キョロキョロと辺りを見渡す亜輝のうしろを歩いていた歩が建物を見て呟いた。
「ああ。俺も久しぶりだ。歩、覚えてるか、あの時の事」
「……うん、覚えてるよ」
昔、まだ俺の母親が生きていて、歩の両親も離婚する前の幼い頃の話。
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