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亜輝のことしか考えられなかったとはいえ、のこのこ俺がここに来たばっかりに凌駕が死ぬかもしれない。そう考えただけで心臓が冷たくなり、全身の血の気が引いていく。
「俺だけが命をかけるのはおかしいだろう。あいつらにも命かけてもらわないとな。あーあー、すっかり怯えちゃって。愛する男が死ぬかもしれないんだもんな。そりゃあ怖いよな」
久保の笑い声が遠くに聞こえた。
さっきから耳鳴りがひどく、忘れていた怠さが何十倍にもなって俺を襲う。
凌駕……大丈夫だよな。お前は俺を置いて死ぬわけないよな……?
今回だってうまく立ち回って助けに来てくれるんだろう。なあ、そうだよな。凌駕……。
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