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だが、目を覚ました時、それが杞憂でないことを知った。
個室を埋め尽くさんばかりの花束。
同じく戸惑ったように病室を見渡す歩。
「貴子、これ・・・」
手渡されたメッセージカードには丁寧な文字。
なぜか、大石ではなく、秘書の沢渡の顔が浮かぶ。
”身体、大事にしろよー
借りの一部、返してやる。大石”
ゾッとするような、ソワソワするような・・・
思わず胸元に添えた手に歩が手を重ねる。
「…大丈夫。心配しなくていい・・・」
何が大丈夫なのか、何が心配なのか…
言葉に出せば、もっとどうしようもなくなる
気がして、貴子は静かに頷いた。
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