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  この社宅も高宮夫人のために作られたもので 社宅とは思えないほどの豪華設備や立地もそのためだ。 最上階の彼女の自宅はゲストルームが2つもあり、その上 パーティーができるようなオープンリビングが備わっている。 関東支部長用の社宅スペースということになっているが 彼女の夫が支部長を辞めさせられることは 彼女と離婚しない限り、有り得ない。   そんな特別な存在にもかかわらず 驕ったところのない高宮夫人に気を許している貴子は 彼女の登場にホッとする。 今もまだ続いているだろう、太田達の井戸端会議が これで強制終了になるからだ。 それでも、今、顔を合わせる事を避けたかった貴子は 植栽を通り抜け、裏口に向かった。
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