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  ホテルの部屋に着くと、貴子は荷物を解く事もなく ベッドにパタッと座った。 唯一、捨てなかった風呂敷包みを解くと 兄たちが一手間を惜しまず丹精込めて作った和菓子が 見るも無残な姿になっていた。 階段を駆け上がったせいなのか、 強く抱き締めたせいなのか… もうそんなこと分からない。 でも、それを見た瞬間、貴子の涙は決壊した。 「ごめんなさい…。兄さん、ごめんなさい…」 そう言って蹲り、 和菓子にボロボロと涙を零しながら、泣いた。
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