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  ピッピピィー、ピッピピィー・・・ けたたましく鳴り響く電子音に 貴子は重い身体を起こした。 そして、適当に準備を済ませ、部屋を出る。 タクシーを拾うと、運転手が心配そうに尋ねた。 「大丈夫ですか?救急車、呼んだ方が・・・」 水すら口にしていない彼女の顔は 真っ青を通り越し、真っ白になっていた。 生気のない顔に今にも倒れそうな弱々しい身体。 貴子はフルっと一度首を横に振り、掠れた声で囁く。 「大丈夫です。○○までお願いします。」 ですが、と運転手は口にしたが、座席に凭れかかる ようにして目を閉じた貴子を見て、従った。
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