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お礼を述べ、タクシーを降りると
200メートルほど先から歩が駆けつける。
「貴子っ、どうしたの??」
ごめんね、と貴子は薄く微笑む。
「…ちょっと用意に手間取って・・・」
約束時間から2,3分過ぎていた。
歩はそれを責めている訳じゃない。
約束事がある時、決して遅刻をしない貴子が
初めて遅れてきた。
その上、辿り着いた貴子には死相さえ見える。
歩は降りたタクシーに貴子を押し込む。
「今日はもういい。
運転手さん、病院にっ!」
合点承知とばかりに頷いた運転手。
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