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それを貴子は止めた。
「大丈夫。ジッとしていれば、すぐ・・・」
でも、と歩はオロオロし
ただ、貴子の背を撫でることしかできなかった。
暫くそうしていると、貴子は荒い息のままだが
徐々に落ち着き始める。
歩は貴子に水を渡し、一口飲ませてから
心配そうに尋ねる。
「何かあったの?」
貴子は俯き、呟いた。
「今は、彼に逢いたくないの・・・」
そう言ったっきり、貴子は押し黙ってしまう。
歩は全てを受け入れるように
貴子を抱き締める。
貴子の目は潤み、嗚咽を抑えるように
声を殺して泣き始めた。
その間、歩はずっと貴子を抱きしめ続けた。
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