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顔を上げた彼は医者らしい、理知的な顔に
心の奥まで凍ったような冷たい目。
貴子は恐ろしくなって、すぐ目を反らした。
「…ありがとうございます。」
では、と医院長達が出て行くと
看護師長と副医院長の2人だけが残った。
新たな担当医の名は来栖永壽(クルスナガトシ)。
見た目同様、淡々と診断を始める。
診断を終えた来栖は貴子に言った。
「体力が戻り次第、心臓を詳しく調べてみましょう。
おかしいと判断するほどではないですが
心音が僅かに波打っています。
もしかしたら、小さな病変があるかもしれません。」
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