4/15
前へ
/40ページ
次へ
  ふふ・・・、と高宮夫人が笑う。 「父は銀行の事しか頭にない人だから、仕方ないわ。 次代の頭取として育てた兄を失って、 気落ちするかと思ったら、逆に奮起してしまうんだから…」 「…」 高宮夫人の兄で、長年、副頭取として頭取を支えていた 高宮兄が病気で亡くなったのは10年ほど前。 まだ40代だったと聞いている。 ちょうど、頭取を譲ろうと動いていた高宮父は 急な事に持病の心臓を悪くし、入院した。 それは日東銀行の危機と言われた。 高宮父は数週間で医者の反対を押し切って退院し、 剛腕を振るう事で全ての不安を払拭した鉄人。 一族経営にもかかわらず、メガバンクと渡り合うことが 出来るのも、彼の手腕と言われている。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加