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ふふ・・・、と高宮夫人が笑う。
「父は銀行の事しか頭にない人だから、仕方ないわ。
次代の頭取として育てた兄を失って、
気落ちするかと思ったら、逆に奮起してしまうんだから…」
「…」
高宮夫人の兄で、長年、副頭取として頭取を支えていた
高宮兄が病気で亡くなったのは10年ほど前。
まだ40代だったと聞いている。
ちょうど、頭取を譲ろうと動いていた高宮父は
急な事に持病の心臓を悪くし、入院した。
それは日東銀行の危機と言われた。
高宮父は数週間で医者の反対を押し切って退院し、
剛腕を振るう事で全ての不安を払拭した鉄人。
一族経営にもかかわらず、メガバンクと渡り合うことが
出来るのも、彼の手腕と言われている。
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