手腕

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「…それで?瑞樹。」 「え?なに?」 「あのADとの会話内容を教えてくれる?」 「……………」 事務所に戻ると、強引に連れていかれた海斗の楽屋で、忘れていたことを問い詰められる。 ……おお。目が怖い。 正直に言った方が身のためか。 「………合コン」 「お前!やっぱり合コンだったじゃねぇか!」 「…と言う名の飲み会?」 「言い方を変えても同じだ!…ダメ。絶対行くなよ。」 「行かないよ!…もう。」 こうして海斗が目を光らせているのには訳がある。 来月から始まるアジアツアー。 私はそのツアーに同行しないことが決定された。 理由? 高須社長の気まぐれ。 「瑞樹。いいか?男は全員無視してろよ?」 「ハイハイ!しつこいよ?」 「…可愛くねぇ!」 「分かってるって。海斗以外は眼中にありません。…これでいい?」 「…冷たすぎる…」 「もう。じゃ、どう言えば納得するの?」 「…………こっち。」 ニッコリと微笑んだ海斗。 畳のスペースに胡座をかいて、その上に乗れと言わんばかりにポンポンと太股を叩いた。 瞬間的に顔が熱くなる。 「…バカ!ここ楽屋でしょ!もう!」 「俺様の楽屋に入ってくる奴はいない。」 「だって!だって!」 「問答無用!」 グイッ!と腕を引かれ、その胡座の上に乗った瞬間始まったキス。 「…も……海斗っ!」 「…可愛い。瑞樹。べーってしてみ?」 その舌を吸われるようにキスが深くなると。 「海斗!撮影……あら濃厚。」 「…!!嘘つき!大翔がいたじゃないか!」 「ハハッ!」 …引っ掻き回してくれる海斗に私は夢中だ。
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