last special【新婚旅行】

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ロスの街並みを瑞樹は気に入った様子。 今日はデジタルカメラを持ってお出掛けらしい。 日本とは違い、出会った人がフレンドリーになることに初めは戸惑っていたものの、すぐに順応してきた。 夜になると俺のおすすめのbarに連れていった。 夜な夜な素人もプロも集うパフォーマンスバー。 そのはしゃぎようと言ったら。 「えっ!何?…海斗ぉ!」 「瑞樹が喜んでくれるから、テンション上がったって。彼からのおごり。」 「え?おごり?なにもしてないのに?もしかして毒入ってるんじゃないの?」 「ブハッ!…んなわけねぇだろ。」 目を輝かせ、パフォーマンスが成功する度に手を叩いて喜ぶ瑞樹。 夢中になってどんどん前へ行き、ついにはステージに身を乗り出す始末。 パフォーマーから見れば、ここまで喜んでくれる日本人は珍しいし、どうしても目が行ってしまうんだろう。 「面白いだろ?ここ。好き?」 「すごく好き!ありがとう。楽しい!」 「俺は好き?」 「す………もう。バカ。」 「何で止めるの。…俺は好き?」 「…好き。」 ……はぁ。堪んねぇ。 「よし。帰るぞ。ベッドの時間。」 「えー!やだ!もっといる!」 「ダメ。帰るの。」 「いやーー!ダニエーール!」 …何がダニエルだ。 俺の事だけ考えてりゃいいのに。 「俺でいっぱいにしてやるよ。おいで。」 「海斗…昨日から変。…あ、テンション高い?」 「そりゃ高いさ。こんなに毎日お前と一緒にいれる時間なんてそうそうないからな。 それに、俺のものになって、高山瑞樹という響きが有頂天になるくらい嬉しいらしい。」 「…高山…瑞樹…ヘヘッ!照れるね。」 …何だ。その可愛い顔は。 さらにテンション上がった俺は、やっぱり朝まで瑞樹を離さなかった。
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