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「嫌だ!離してよ!!」
「ゴメン。瑞樹。」
「何で謝るの!!悪いことなんてしてないんでしょ!!」
「ゴメンな。」
「アイドルの顔してたじゃない!アイドルの高山海斗だったくせに!」
「ゴメン。」
「アイドルなんて大っ嫌い!!」
ボロボロ泣きながら、子供のような癇癪を起こす瑞樹。
その表情は、嫉妬に狂った女。
正直、こういうのは面倒だ。
だけど、他ならぬ瑞樹だから、面倒だなんて思わない。
パシャ!!!
俺の胸を思いっきり押して引き剥がした瑞樹が、テーブルにあった花を抜き取り、花瓶の水を俺にぶちまけた。
「…どうしてあの人なのよ!」
「…瑞樹。ゴメン。」
「……何であの人が海斗を守るのよ!!」
「…瑞」
「何で私は逃げたの…」
……ああ。
俺の考えが外れた。
俺の予想を上回る瑞樹。
嫉妬もある。
でも
こいつの頭は、いつだって俺でいっぱいなんだ。
俺を守ると言った自分が守れず、ただ傍観していただけと悔やんでいる。
なんて愛しい。
なんて誠実なやつ。
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