手腕

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「お疲れさまでした。」 「!!」 どうやらやっと撮影が終わったらしい。 言われるまでもなく、静かにスタジオを後にしようとゆっくりとーーー 「綾瀬!どこ行くの?」 「…ひ…東さん……えっと……」 ミスをした自分は、結局怒られる。 そんな彼らは、仕事に関してとても厳しい人たちで、"妥協"という言葉を知らない。 「…5分だけ時間をもらったぞ?」 「え?」 「撮影したい人がいるんじゃないかと思ってね。どうする?」 「…や…やります!」 「5分だぞ。…課題は"一発勝負"。」 「…一枚でベストショットを撮れってこと?」 「そういうこと。」 そして、彼らのもう一つの顔。 カメラマン・高山海斗と東大翔。 二人は私のカメラの師匠でもある。 「分かりました。…えっと、その前に一枚だけ撮りたい写真があるんですが…いいですか?」 二人の方へ近付くと、二人の間に仰向けで横になってカメラを構えた。 スタジオの天井のセット 天井の照明 眩しいほど突き刺さる 「二人とも!カメラ覗いて!」 左右から覗かれた 光る照明が、まるで朝日をバックにしたような輝きを見せる 「高山さん、もう少し右……ストップ。」 揺れる髪の隙間から溢れる光 人の目にはかなり眩しく感じるほど その光だけを利用し、敢えてフラッシュをたかずに写せば、光と影の絶妙なコントラスト
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