手腕

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「5分ジャスト!」 大翔の言葉でハッ!とする。 周りは静まり返り、先ほどまで怒鳴っていたカメラマンさえ口を開けて私を見ていて。 …やば。やっちゃった。 「…す…すみませ」 「ゴメンね?みんな。この子、俺たち専用のカメラマンなんだよ。ちょっと夢中になりすぎちゃったみたい!」 謝ろうとすれば、空かさず大翔が笑いながらフォローを入れてくれた。 隣には、やはり無表情で睨む海斗の姿。 しかし、その手は固く握られポケットに入っている。 (…相当笑いを堪えてる顔だ…) …だって、スタジオで撮影できるなんて久し振りで嬉しかったんだもん… 心で言い訳しながら、手はさっき撮った写真を呼び出している。 「……………」 小さい画面には、幻想的な雰囲気を醸し出している二人の姿。 (…げ……現像!!) 「皆さん、本当にごめんなさい!素人がでしゃばりすぎました!失礼しました!私はこれで!!」 いまだにポカーンと口を開けているスタッフを後に、逃げるようにスタジオの外へ出た。 「…プッ!…アハハハハ! 現像に走ったな?あいつ!必死すぎだから!俺たちに見向きもしなかったし! 海斗。俺らトップアイドルって眼中にされてないけどどうする?」 嫌味ったらしく大声で言ってるあたり、私に聞かせるために叫んでいるな。 …基本的にアイドルなんて興味ないもん。 仕方ないじゃないか。 それより現像! 走りまくってやっと辿り着いた海斗の楽屋。 置いてあった自分の荷物を取り出すと、一目散に外へ飛び出した。
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