手腕

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スタジオにも器材は揃っているのだが、これ以上迷惑になってはいけない。 その一心で向かったカメラ専門店。 数秒ほどで出来上がった写真を手に取ると、思わず感嘆の声をあげるほどの出来映え。 しばらく眺めていると、携帯が鳴り響いた。 『瑞樹!どこにいるんだ!まったく!』 「ひゃあ!…ごめん!直ぐ戻る!」 『いい。俺らが迎えに行くから。このあと事務所で撮影ある。どこいる?』 場所を言うと目立たない所に移動して待つこと数分。二人を乗せたいつもの車に乗り込む。 「海斗!大翔!見て!凄くない?カッコよく撮れてるでしょ?」 「……なんだこれ。こんなのは目を閉じても出来る。…ま、課題にしては頑張った方っだから60点やろう。」 「60!?低くない?」 「低くない。この状態からの俺のベストアングルはもう少し右だ。海斗は顎を上げて見下ろす形。」 「…くっ…!……海斗ぉ……」 「修行の道は険しいな。」 海斗に泣き付けば、さっきとはまるで違う表情で私を見て微笑んだ。 このギャップが見れるのも、私の特権。 「…でも、撮したいイメージは理解できる。」 「そうだな。恋する乙女の心情ってやつ?」 「……ほ……ホントに?」 「ああ。瑞樹はちゃんと出来てる。カメラ、上手くなったな。」 海斗も大翔も微笑みながら私の頭を撫でた。 …ちゃんと認められてる。 それが嬉しい。 「「…まだまだだけどな。」」 「……………」 …出た。飴の後の鞭。 やっぱり逆パターンがいい…
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