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―――部屋のドアが締まる音を確認して、俺はふぅ、と溜め息を漏らした。
カナを見ていると、時折どうしようもなく苦しくなる。
唯はカナの気持ちには微塵も気づいていないし、そっちの気もない。
それでもずっと、カナは唯を好きでいる。
それを見ているのが辛くて、苦しい。
最初は、何でこんな気持ちになるのかわからなかった。
…いや、認めてはいけないような気がしていた。
だけど、唯の一言に一喜一憂しているカナを見ているうちに、気づいた。
今はもう認めている。
……要が好きだ。
困らせることはしたくないから、俺の気持ちは伝えない。
だけど、カナの悲しそうな顔は見たくない。そんな顔をさせる位なら、俺の気持ちなど偽ってでもそばにいる。
どんな形であれ、俺の存在がカナの中に残るなら、それでいい。
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