彼は恋愛が分からない  ~小学生編~

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 小学六年生の夏休み明け。  私はランドセルに沢山のノートを詰め込み、手提げ袋にはかっこ悪い貯金箱を入れ、理科研究用の模造紙を丸めて入れると、それはもう引っ越しさながらの大荷物だった。  私のクラスは特に大きな問題もなく、真面目なクラスとして学年では知られていて、こうして何につけても、しっかり期限には提出するのが当たり前だった。他のクラスの話を聞くと、宿題忘れは当然で、荒れている所もあるらしい。  でも、私には関係ない。  関係ないというか、関わりたくても私のような臆病な性格じゃ、そういう人達とは仲良く出来ないし、話すことも出来ない。  そういう意味。  私は膨らみ切ったランドセルを背負い、手提げ袋を持って遥か遠く感じる小学校へ行く準備を整え終えると、階段を下りてお母さんに言った。
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