彼は恋愛が分からない  ~小学生編~

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 私は諦めて返事をすると、貯金箱を手提げ袋に入れて、靴を履いた。  そして渋々ドアを開けて、まだ暑い日差しを隙間から存分に浴びると「まぶしい」と太陽を見ないように下を向いた。  そしてお母さんに『いってきます』も言わずに、その日は不貞腐れて出て行った。  真四角な家の貯金箱なんて、絶対に誰かがバカにすると思うからだ。  学校までは集団登校で、私は班長だ。  学年が上がればいずれはなるのだけれど、班長へは憧れがあった。低学年の女の子を面倒見たり、堂々と前を歩いたり、道には絶対に迷わないから頼られる。何か問題があったら、まずは私に所に皆が相談にくる。  今日は新学期だから、一年生のなおくんが寝坊でもするかもしれない。  新学期ってどうしてこんなに不安なんだろう。いつもいつも思う。
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