side boy

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「アユミ、俺...女子生徒にキスした」 「...へっ?」 数時間前に、アユミと婚姻届けを提出したばかりだと言うのに懺悔した。 彼女は俺を見上げてピクリと眉を動かしただけで、表情をまったく変えなかった。けれど、繋いでいた手だけはそっと離した。 「何で...今それを言うの」 「ごめん」 空はもう暗闇のベールを纏っているというのに、俺たちのいるここは幻想的なイルミネーションと楽しげな人達でごったがえしている。 「...【憧れ】じゃなくて【恋】なんだと。」 いつも準備室で話をした女子生徒は最後に泣きながら俺に言ったんだ。 その姿は、まるで昔の自分を見ているみたいで胸が痛んだ。 窓から香る金木犀が胸の奥に閉じ込めた記憶を掘り起こして、自分があの頃に戻ったかのような錯覚に陥って、何度あの花の香りを消そうとしただろう。 先生...あんたはあの花が好きだったよな?
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